轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

「少年読売」1948(昭和23)年3~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页

青空文庫

キンちゃんの声が大きかったので、池の水面から顔を出していた奇妙な魚がびっくりして、どぶんと波紋をのこして沈んでしまったのだ。

その話を、正吉は、そばへ来たキンちゃんに話してやった。

「ええッ、大きな魚だって、そいつはめずらしいから、つりあげていって、焼くか煮るかして食ぜんへ出してみたい」

キンちゃんは料理人だから、すぐそんなことを考える。しかし正吉はいった。

「ぼくはその魚料理はたべないよ」

「なぜだね」

「だって、気持のわるいほど大きくて、いやにこっちをぎょろぎょろ見る魚なんだもの。あんな魚の肉をたべると、きっと毒にあたるかもしれない」

「ははあ、毒魚だというのだね。よろしい。毒魚か毒魚でないかはこのキンちゃんが一目見りゃ、ちゃんとあててしまうんだ。こんど出て来たら、すぐあっしに知らせるんだよ」

「しいッ。また、水面から顔を出すようだ」

しずかだった水面に、今はあちこちに、小さな波紋が見えている。いや、それは波紋ではなく、あの奇妙な魚が水面に自分の目を出して、岸にいる正吉たちの様子をうかがっているのだと分かった。

「しずかにしているんだよ。怪物どもがすっかり姿をあらわして、図々しくなるまで、ぼくたちは石の像のようにしずかにしているんだよ」