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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
ですから連れてって下さい」
「よろしい。連れていってあげる」
「ウワァ、うれしい」
正吉はよろこんで、カンノ博士にとびついた。
新月号離陸
やっぱり東京の空港から、探検隊のロケット艇は出発した。
艇の名前は、「新月号」という。
新月号は、あまり類のないロケットだ。艇の主要部は、球形をしている。
その外につばのようなものが、球の赤道にあたるところにはまっている。そしてこれはどこか風車か、タービンの羽根ににている。
空気のあるところをとぶときは、このつばの羽根が、はじめ水平にまわり、離陸したあとは、すこしずつ縦の方へ傾いていって、斜めに空を切ってあがる、なかなかおもしろい飛び方をする。
そして、もう空気がほとんどないところへ来ると、このつばの羽根が、球から離れる。
そのあとは球だけとなる。この球がロケットとして、六個の穴からガスをふきだして、空気のない空間を、どんどん速度をあげて進んでいくのだ。
球形の外郭には、たくさんの窓があいている、もちろん穴はあいていない。厚い透明体の板がこの窓にはまっている。そしてこの窓は暗黒の中に美しい星がおびただしく輝いている大宇宙をのぞくために使う。