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さんしろう

三四郎

夏目 漱石

三四郎在火车上遇见一位肤色黝黑的女子,不由自主想起故乡的恋人。他假装睡着偷听她和邻座老人聊天,越听越放不下。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 页

青空文庫

「何か特別に忙しいことができたのですか」

「ええ。できたの」と言った。大きな黒い目が、枕についた三四郎の顔の上に落ちている。三四郎は下から、よし子の青白い額を見上げた。はじめてこの女に病院で会った昔を思い出した。今でもものうげに見える。同時に快活である。頼りになるべきすべての慰謝を三四郎の枕の上にもたらしてきた。

「蜜柑をむいてあげましょうか」

女は青い葉の間から、果物を取り出した。渇いた人は、香にほとばしる甘い露を、したたかに飲んだ。

「おいしいでしょう。美禰子さんのお見舞よ」

「もうたくさん」

女は袂から白いハンケチを出して手をふいた。

「野々宮さん、あなたの御縁談はどうなりました」

「あれぎりです」

「美禰子さんにも縁談の口があるそうじゃありませんか」

「ええ、もうまとまりました」

「だれですか、さきは」

「私をもらうと言ったかたなの。ほほほおかしいでしょう。美禰子さんのお兄いさんのお友だちよ。私近いうちにまた兄といっしょに家を持ちますの。美禰子さんが行ってしまうと、もうご厄介になってるわけにゆかないから」

「あなたはお嫁には行かないんですか」

「行きたい所がありさえすれば行きますわ」