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さんあくにんものがたり

三悪人物語

山本 周五郎

忍術千一夜 第二話

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,990 字 · 58 页

青空文庫

「三人はゆうべ出たっきり梨の飛礫だし、けさ聞けば蓑賀はたしかに剥がれてる、てっきり謀反気を起こしてずらかったと思うから、こっちは三人の名を番所へ訴えちまったよ、全体どうしたことなんだい」

「それがその、なんです」

権頭はまだぼやっとして首を振る、

「なにしろ狐に化かされちまったもんでして、実を云えば、ほしをつけた家があったんで、事のついでにそっちも稼いで、姐さんに喜んでもらおうと思ったんですよ、なあ杢」

「つまりですね」

と杢もまだよく眼が覚めないという顔つきで云う、

「私たちとしてはですね、この、あれです」

「杢の謎々は結構だよ、それでほしをつけた家というのがどうしたのさ」

「ついそこなんで」

権頭が指さしをする、

「ついそこの松林の中にある一軒家なんで、主じはまだずぶ若え銀流しですし、老いぼれた爺婆が二人いるだけで。しかも毎夜ちりちりと金を」

「ちょっとお待ち」

姐さんはきゅっと唇をひきしめた、

「それは大根畑の向こうに見えるあの家じゃないのかい」

「へえあの家なんで、ところが姐さん」

権頭はぐらりと首を振り、手まね身振りで足らぬところを補いながら、土間から始まって土間に終わる、艱難辛苦を極めた体験をつぶさに物語った、