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ふざいじぬし
不在地主
小林 多喜二
一~十一、十六「中央公論」1929(昭和4)年11月号、十二~十五(「戦い」の表題で。)「戦記」1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,990 字 · 141 页
」
「佐々爺云ってたども、北海道の開拓はどうしたって土方ば使わねば出来ないんだってよ!」
「んだかな。」
「馬鹿云うもんでねえよ!」
健はムカムカした。
「飯場さ入る時な、皆ば裸にしてよ、入口でヒー、フー、ミー、ヨーッで数えるんだ。――窓って窓は全部釘付けよ。」
健は明日からもうやめた、と思った。――兵隊にだって、俺達と同じ黒飯を食わしたって構うもんか、要らない見栄なんてしない方がいいんだ、と思った。
次の朝三時頃、表から仲間が呼んだ。
「俺アもうやめた。」
行けば行けると思っていたのに、眼がさめると、身体が痛くて匍うことしか出来なくなっていた。
「何んだって※(感嘆符疑問符、1-8-78)」――母親がむっくり頭をあげた。
健はものも云わずに又蒲団をかぶった。
「健――これ健ッ、もう二日我慢してけれ、な、もう二日!」
「続かない。身体痛たくて、痛たくて!」
それっ切りだまった。耐え性なく、それに眠かった。
母親は思い切り悪く、何時迄も枕もとでクドクド云っていた。それを、うるさい、うるさいと思ってききながら、何時の間にか又眠っていた。
「ハッ、兵隊さんだな」