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ふしのくすり

不死の薬

小川 未明

「日本少年 臨」1914(大正3)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,534 字 · 7 页

青空文庫

三

けれど、一そうも目にとまりません。毎日、毎日、沖の方を見ては、通る船を見ていますうちに、そのかいもなく、ふと病にかかって、それがもとになって、遠い異郷の空でついに死くなってしまいました。

三

「それからどうなったい。」

と、甲が丙に尋ねました。

「これで、もうお話は終わったんだよ。」

丙が星晴れのした空をながめて答えました。

「その家来は死んでしまったから、天子さまも死んでしまったんだね。」

と乙がいいました。

「それはそうさ、天子さまも不死の薬を飲むことができなかったから、やはり年を老って死んでしまいなされたろう。」

と丙がいいました。

「ばかだね、その家来は自分もその薬を飲んで、そして天子さまへも徳利の中へ入れて持ってゆけばよかったのに。そうすれば二人とも死ななかったろうに。」

と、乙が考えながら家来の智慧のないのを笑っていいました。

「だって、天子さまより先に飲むのは不忠と思ったかもしれないさ。」

と甲がいいました。

三人は、かしの木の下に腰を下ろして、西南の国境にある金峰仙の方を見ながら、まだあの高い山の嶺には不死の泉があるだろうかというようなことを話して空想にふけりました。