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せかいのいっかんとしてのにほん

世界の一環としての日本

戸坂 潤

在线阅读戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 页

青空文庫

だが幸にして北支問題は戦争へは導かなかった。よく考えて見ると、導く筈もなかったし、導き得るものでもなかったのである。中国中央軍と党部とが河北省を撤退するという中国側の最後の解答によって、日本軍部側の対支要求は都合上全部容れられることになって、ここに河北省をめぐる限りの北支問題は一段落となったわけである(一九三五)。中国国民もそうだろうが、吾々日本人も(軍需工業や戦争に特別な利益を感じる商売人は除いて)之で一まずホッとしたと云っていい。

アメリカやイギリスの一部の世論には、この北支問題を目して北支独立に導く心算ではないかと憂えた向きもあったようだ。だがそういうことは云うまでもなく無意味なデマに過ぎない。一体そんなに容易に一つの国が独立出来るものと考えるのが間違いの元で、満州がなぜ独立出来たかと云えば、それは満州人種の「三千万民衆」の切々たる懇望に基いたからこそであった。処が北支那の民衆の切々たる懇望は何かというに、却って不埒にも排日排満の形を取って表面に現われたものだったのである。之では仮に独立国が出来ても、満州国に対立するための独立国にはなっても、満州の友邦としての独立国になる筈はない。