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せかいのかふ

世界の寡婦

宮本 百合子

「婦人公論」1946(昭和21)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,525 字 · 17 页

青空文庫

体が丈夫で気丈で、人と人との調和もよく百人中の一人として、いい職業につけた人があったとする。その人は、自力、自分の実力ということをふたたびうれしく認めるであろう。しかし、真面目な婦人であるならば、その満足の期間は短くて、新しい社会的な立場はとりもなおさず、より厳粛な社会的覚醒への扉であったことを知ると思う。

民法が改正されようとしている。婦人にとって重大なかかわりをもつ結婚、離婚、親権、財産権などの条項が変更される。親、戸主の権威が不幸の原因とさえなっていた結婚というものは、当事者である男女の互の意志によってとりきめられ、互の協力によって維持されるべきものとなろうとしている。憲法で、男女同等の基本的人権が認められるようになった。それに準じて変更される民法の結婚の規定は、これまでの民法の矛盾をとりのぞいた。結婚しようとする当事者たちの意志できめられるというのは、さわやかにはればれした人生の門出を予約するように感じられる。

民法の上にさっそうたる朝風が吹きわたるとして、さて、私たちの毎日の実際で、当事者同士の意志は、そんな単純明朗であり得るだろうか。