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せかいのかふ

世界の寡婦

宮本 百合子

「婦人公論」1946(昭和21)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,525 字 · 17 页

青空文庫

食糧事情は、封建の「家」のふところからさえ、急に過剰人口となったそれらの母子を追いはらおうと欲する。こういう実際だのに、政府が「婦人は家庭へかえれ」と馘首の先頭に婦人をおいていることの不条理は、あらゆる人の心魂に徹している。道徳的頽廃の根源も、生活不安定にある。

困難な条件が循環して果しないのに失望した一団の婦人たちが現れた。それほど国家が無力ならば、自分たち未亡人といわれる境遇に生きる者が、共通の苦痛と共通の必要にたってかたまり、社会に生活の道を拓いて行こうときめた健気な人々がある。

これらの婦人たちは、最後にたよりになるのは天地の間に自分しかない、という悲愴な決意をした人々である。あらゆる歴史の波瀾の間で人間が最後のよりどころはただ一人、自分があるだけだと観じた場合は実に多かった。それは気力をふるい立たせ、計画ある行動に立たせて窮地を打開させる力となって来た。

けれども、今日私たちが、自分一人が頼り、という雄々しい決心のその現実の内容をこまかくしらべたとき、生を守る智慧はどんなに深く大きくあらねばならないかということにおどろかれる。

つまり、私一人、というものの、社会における四方八方への繋りの問題である。