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ちゅうよう
中庸
「群像 第八巻第六号」1953(昭和28)年6月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,104 字 · 33 页
小学校には宿直という者がおって常時火の用心を心がけているから、今さらバケツリレーなどに参加の必要はないと云って、根作がいかに談じこんでも防火週間に協力してくれなかったのです。村民の大半もイヤイヤながらバケツリレーに駆りだされていたのですから、学校の先生の云い分が尤もだと云って、根作の評判の方が悪かったのです。根作はそれを根に持ったのです。彼は小学校の校長と、こんな風に言い合いました。(小学校から火事がでれば宿直の者がきっと消すか)(宿直は消防じゃないから火事を消すことはできないが、火事がでないように厳重に見まわりを行っているから、学校から火事がでる心配はない)私はそのとき一しょにそこにいましたが、根作はこう云われて、返す言葉もなく無念の唇をかんでいたのです。無念のあまり、彼は小学校に放火しました」
「誰かそれを見た人がいるのかね」
「誰も見たわけではありませんが、彼の放火に間違ないのです。その晩宿直の教員が宿直室をぬけだしてだるま宿で一ぱいやって酔っ払ってしまったのです。そのとき隣り座敷に飲んでたのが根作です。根作は宿直の教員がへべれけになって学校へ戻ったのを知ってだるま宿を立ち去りました。