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ちゅうしゆうき
中支遊記
上村 松園
「画房随筆」錦城出版社、1942(昭和17)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,238 字 · 13 页
それにあまり珍しいとも思えぬ動物の剥製など。私の眼をひいたものと言えば種々の墨ぐらいのものであった。相当よいもので、これも装飾用のものでもあろう、大きなものであった。
皇軍の尊い血の匂いのまだ残っている新戦場としての光華門では、当時此処の戦闘に参加した将校さんの説明を聞いた。四辺は既に片づけられ、此処に散華した勇士達の粗末な墓標が、まだ仮りの姿で立っているだけであるが、季節も丁度こんな頃ではなかったのか、澄み透る空気に、鮮かな匂いを見せた秋の日射し。それは身体の中を洗いきよめてゆくようであった。
松篁が三年前に此処に立った時には、激戦当時を想像させる身の気のよだつようなものがあり、あたりには枯骨も見えたということであった。なかには絵に描かれているような髑髏がそこはかとない秋草を褥にすわっていたという土産話も、今では嘘のようである。
私たちは当時の一人一人の勇士の顔形を胸に描き合掌する気持で秋の日射しの中を歩いて帰った。
支那の娘
首都飯店にあった宴会で私は上品で可愛い給仕娘に眼をとめた。私は滞在中その娘を借りて来てスケッチした。一人で来て貰うと何処かかたくなって気詰りらしいので朋輩を一人連れて来てもらうことにした。