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ちゅうじょうせいいちろうの「かしんしょう」まえがきおよびちゅう
中条精一郎の「家信抄」まえがきおよび註
宮本 百合子
「中條精一郎」国民美術協会、1937(昭和12)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,886 字 · 16 页
書簡(六)
註。ランガム・ホテル全景。第五階とことわりがきのしてあるところを辿ってホテルの窓を下からのぼって見ると、屋根部屋のすぐ下に当る。当時でもヨーロッパではホテルの階が上である程やすいということにかわりはなかったのであろう。
書簡(七)
註。右手に茶色に見えるのが、チャーリングクロス停車場であろうか。このエハガキのむこうから黄色い外套を着ぶくれた御者にあやつられて栗毛の馬二頭にひかれた乗合馬車が来る。広場の中央に一本ガス燈の立っている周囲を、四本の標で区切ったいとささやかな安全地帯があって、包をもった子供がそこへかけつけている。
書簡(八)
註。風車・乾草・小川は秋空をうつして流れている。農婦は赤い水汲桶を左右にかついで小川に向って来る。画中の女、戦の勝敗を知らず。
書簡(九)
註。この頃シベリアは郵便物が通れず通信すべてアメリカ経由でされている。このハガキは東京へ八月二十七日着している。殆ど四十日かかって、ハーフディンバアの沙翁の家の写真が母の許についたわけである。父がまだ出立しないうち、一夜本郷座でシェクスピアの「ハムレット」