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ちゅうじょうせいいちろうの「かしんしょう」まえがきおよびちゅう

中条精一郎の「家信抄」まえがきおよび註

宮本 百合子

「中條精一郎」国民美術協会、1937(昭和12)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,886 字 · 16 页

青空文庫

書簡(二〇)

註。黒白の漫画絵ハガキの右手にはケムブリッジ案内と書いた部厚な本を抱えた紳士を従えた市長が、胸に授を飾り、脱帽して高貴な訪問者に挨拶している。頭にタ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ーンを高くまきつけ、白袍をまとった所謂インド王族がそれに勿体ぶった礼をかえしているうしろで三人の随伴者がかたまって、おい芝居がうまく行きすぎるぞ、という苦笑顔である。

英本国とインドとの関係、それにつれてのインド王族らに対する外交的儀礼をケムブリッジの学生らの若さが揶揄するところ、到って興が深い。更にこれらの若者が長じていつしかこの市長の役を演ずるに至るであろう過程に於て、罪なき笑劇は悲劇にかわるのである。

書簡(二一)

註。父はこの時代自転車にのっては、よくころがったことがあったらしい。その不如意なる父が目を瞠って少女の曲乗に感歎している様はまことに面白い。活動写真が真に迫る云々。幻燈のことであろうか。

書簡(二三)

註。面に黒ラシャを張って、ガラガラとフォールディングになった開きのついたデスクの上に、母は円ボヤの明るいラムプをつけた。