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ここのつのかぎ
九つの鍵
野村 胡堂
「少年時代」1949(昭和24)年1月~4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,349 字 · 42 页
「ひどい事をするじゃないか」
照国の誠一もすっかり興奮しておりますが、相手の手続きにまちがいがなければどうすることもできません。
「お気の毒ですがね、こうするほかはなかったのです。私は管理人で、持主の小早川さんの命令通り運んだまでのことで――」
山裏金司が、ニヤニヤした顔を持って来て、狩屋三郎たちの前に、弁解がましいことを言っておりますが、三郎も誠一もそれを相手にもしません。
「幸子さん、馬吉君、――いつまでもここにいるわけにも行かないでしょう、さしあたりお困りならぼくの家へ来ちゃどうです、さいわいここから遠くないし、ぼくの家はあの通り広くて不用心だし」
狩屋三郎は、とっさの間にこの姉弟を引取る決心をしたのでした。
「でも、それではあんまり」
幸子はさすがにモジモジしておりますが、
「いいなア、狩屋さんの家なら、ぼくは大好きさ」馬吉はすっかり有頂天です。
「そして、馬吉君はもとの学校へ通うんだ、幸子さんはお好きな絵でも勉強して愛子をさがす仕事に協力して下さい」「ありがとうございます」
幸子はもう一度新しい涙にひたりました。今度は狩屋三郎のへだてのない親切なことばに打たれたのです。