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らんぽぶんせき
乱歩分析
大下 宇陀児
「別冊宝石」1954(昭和29)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,427 字 · 17 页
その説明と解説とは、まことに立派であるけれども、やはり学者としての文章だろう。「探偵小説三十年」は随筆と見るべきものであり、実に詳しく三十年間の回顧が述べられているが、せっかくのそれらの思出が、十分に躍動していない感がある。私だけの欲かも知れないが、も少し滋味のある回顧文であったら、なおよかったのではあるまいか。
悪口のついでに、彼は何かの会合でもあって外出すると、その会合の席だけではたんのうしないで、都内のあちこちと飲み歩き、なかなか帰宅しない悪癖のあることをつけ加えておくが、これはそうやっている間に、何か変った珍奇なものにぶつかりたいという、彼の特別な好みのためであろう。べつに、大して酒を飲むのではない。醜態を演ずることもなく、ただ無意味にだらだらと、帰宅の時刻を遅らせているように見える。そういう時につき合っていると、例の「槍さび」か「岸の柳」を、必らず聞かされることを覚悟しなければならない。
こんな外出の時に、近頃の彼は、なかなか上等の仕立の服を着るようになった。
最近作の「兇器」で、
「明智小五郎は、お洒落だった。顔はいつもきれいにあたっていたし、服も彼一流の好みで、凝った仕立のものを、いかにも無造作に着こなしていた……」