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ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

「中央公論」1947(昭和22)年1、3~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 页

青空文庫

その女のひとは、小石川のある電車の終点にたっていた。

互の誠意の問題としていい出されることであっても、伸子の女の感情にとって、それはありふれた小心な男のいうことと同じだと映るような場合、伸子は悲しく、そして容赦なく、自分たちのまねごとじみた生活の矛盾を感じた。素子が、男性への反撥で、皮相的に女らしくなくなっていながら、一方で、平凡な男が女に向ける古い感覚に追随しているのだったら、女が一組となって暮す新しい意味は、どこにあるだろう。

こういういろいろの心持を、伸子は素子と率直に話せなかった。伸子には、そのいろいろな心持の内容がまだ十分自分にも見わけられていなかった。それに伸子は日頃の生活のならわしから、素子が激怒するのがこわかった。女はだからいやだ、という伸子にとって実感しにくい、素子の噴火口が、そこに火焔をふき出すことをおそれるのであった。

十

婦人欄を早くから設けていることが特色とされているある新聞社が、中国から来た女学生の日本見学団を招待して茶話会を催した。日本側の婦人が幾人か招かれたなかに伸子も加えられた。

あまり会へ出るようなことのない伸子は、中国からの女子学生団というところに心をひかれた。