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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页

青空文庫

八津がもって遊んでいた貝がらや紙人形もそばにおいた。悲しみがきゅうにおしよせてきて、大吉も並木も声をあげて泣いた。おんおん泣きながら大吉は、八津がいつもほしがっていたチエノワを思いだし、かしてやらなかったじぶんの不親切をじぶんでせめながら、いまあらためて、それを八津にやろうと思った。胸に組みあわせた手にもたせようとしたが、冷たい手はもうそれをうけとってはくれず、チエノワはすべって棺の底に落ちた。並木も泣きながら、彼もまた八津の目にふれぬようにしまいこんであった大事な色紙をもってきて、鶴や奴や風船を折って入れた。そんなものをもって、八津は死出の旅路についたのである。

こういうことがあって、大石先生はきゅうにふけたのである。白髪さえもふえた。小さなからだはやせるとよけい小さくなり、腰でもまげると、おばあさんそっくりになった。小さいながらも大吉はどきんとし、こんどはお母さんが、どうかなるかとあんじた。人のいのちの尊さを、しみじみと味わえる年になってきた。

お母さんを大事にしてあげるんだぞ――

お父さんのことばが生きてきた。

「お母さん、薪はぼくがとってくる」