轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

「ニューエイジ」1952(昭和27)年2月1日~11月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 113,429 字 · 227 页

青空文庫

なんのことはない、一本松も先生の家も、すぐそこだとわかると、また歓声があがった。

「ほたって、一本松、なかなかじゃったもんなあ」

「もう去のうかと思たぐらい遠かったな」

松葉杖をとりまいて歩きながら先生の家へゆくと、先生のお母さんもすっかりおどろいて、きゅうにてんてこまいになった。かまどの下をたきつけるやら、何度も外に走りだすやら、そうして一時間ほども先生の家にいただろうか。そのあいだにキツネうどんをごちそうになり、おかわりまでするものもいた。先生はよろこんで、記念の写真をとろうといい、近所の写真屋さんをたのんで、一本松まで出かけた。

「もっと、みんなの顔みていたいけど、もうすぐ日がくれるからね。うちの人、心配してるわよ」

帰りたがらぬ子どもらをなだめて、やっと船にのせたのは四時をすぎていた。短かい秋の日はかたむいて、岬の村は、何ごともなかったかのように、夕ぐれの色の中に包まれようとしていた。

「さよならァ」

「さよならア」

松葉杖で浜に立って見おくっている先生に、船の上からはたえまなく声がかかった。

三人の大人たちが町から村をさがしまわっているとき、十二人の子どもは、思いがけぬ道を通って村へもどった。