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ごえもんとしんざ

五右衛門と新左

国枝 史郎

「大衆文芸 第一巻第一号」1926(大正15)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,405 字 · 21 页

青空文庫

お相伴には、玄以法印、法橋紹巴をめされける」

これも将しく其の通りであった。

「大小名のかこひの前なる蝋燭は、たゞ万燈に異ならず、百座の会なれば、いかにも短座に見えにけり」

これにも相違は無かったらしい。

「かくて時刻も移りければ、やう/\百座成就し給ひて、還御をよびたまふ。秀吉公西をごらんありければ、すこし引き退きて萱の庵見えにけり」

「玄以玄以」と秀吉は呼んだ。「鳥渡風流だな。何者か?」

「一興ある茶湯者でございます。堺の住人とか申しますことで」

「おおそうか、寄って見よう」

「竹柱にして、真柴垣を外に少しかこひて、土間をいかにも/\美しく平させ、無双の蘆屋釜を自在にかけ、雲脚をばこしらへて、茶椀水差等をば、いかにも下直なる荒焼をぞもとめける。其外何にても新きを本意とせり。我身はあらき布かたびらを渋染にかへしたるをば着、ほそ繩を帯にして、云々」

これが庵の有様であり又亭主の風貌であった。

亭主は土に額をつけ、かしこまって謹しんでいた。

二

「作意の働き面白いな。手前を見たい。一服立てろ」

秀吉は端座した。

亭主、恭しく一揖し、雲脚を立てて参らせた。