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ごかいのまど

五階の窓

江戸川 乱歩

01 合作の一(発端)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,189 字 · 21 页

青空文庫

一

一

「社長、又脅迫状です」

ドアが開いて、庶務の北川が入って来た。株式会社西村電気商会主の西村陽吉は、灰皿の上に葉巻を置いて、クルリと廻転椅子を廻し笑顔を向けた。

「又かい。根気のいいものだね」

彼はものうげに、北川のさし出す書状を受取ると、チエッと舌打ちをしながら、開封した。

「慣れっちまいましたね。封筒を見れば、これは脅迫状だなんて、直ぐに分る様になりました」

「ウン」

西村は鷹揚にうなずいて、封筒の中味を読み始めた。北川はそのうしろから、さも主人の身の上を気づかう恰好で、手紙を覗いている。

「ワハハハハハハハ、大分手ひどい。暗夜を気をつけろだって、うっかりすると命があぶないぞ」

西村は椅子の上でそっくり返って笑った。

「ここだよ、ほら」

北川は社長の指さす文面を、小声で読んで見て、さも生真面目な表情を作りながら、

「無智な奴って、仕様がないものだね。個人としての社長を恨むなんて、飛んでもない見当違いじゃありませんか。恨むなら会社全体を恨むがいい、会社をして事業縮少を余儀なくさせた経済界を恨むがいい。何も社長の御存知のことじゃないのですからね」

「理窟はそんなものだがね。