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じんみんせんせんへのいっぽ

人民戦線への一歩

宮本 百合子

「サンデー毎日」1946(昭和21)年2月3日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,003 字 · 10 页

青空文庫

板橋の場合、発見した隠匿物資は、配給所がごまかしていたものではなかったのだから、委員会は、先ず連合軍に申し出たらよかったろう。連合軍は或は政府に通告し、政府は営団に一旦渡せというかもしれぬ。そこが区民としては虫が好かない点だったろう。虫のすかないのは同感だが、虫がすかないからと云って私たちは、素朴な、口実を与える方法で自分たちの大局的自主性を失おうとは思うまい。そこが談判のしどころであろう。その場の必要な行政的権限を確保しつつ、前わたしとして渡せば、営団のちょろまかす範囲はいくらかへると考えられまいか。発見した物資を、その場で人民がわけて、その責任は人民管理委員会に負わされるという段どりは、この大事な発展的な人民のための、人民のつくる委員会として幼稚なやりかたであろう。

ごたごたに誘い出される暴力についても、人民自主のためには十二分の理解がいる。ポツダム宣言受諾後、現在日本の政府は、表面上は人民に向って行使すべき武力を失っている。人民に対して行使する表向きの暴力はもっていないという建前になっている。連合国は、日本人民の平和裏の自主性を認めているのである。