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じんせいろんノート
人生論ノート
三木 清
下記以外「文學界」文藝春秋社、1938(昭和13)年6月~1941(昭和16)年10月<br>個性について「哲學研究 第五十二號 第五卷 第七册」京都哲學會、寶文館、1920(大正9)年7月1日<br>後記「人生論ノート」創元社、1941(昭和16)年8月11日<br>旅について 不詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,023 字 · 143 页
この場合秩序というものが、心の秩序に関係していることは明かである。どのような外的秩序も心の秩序に合致しない限り真の秩序ではない。心の秩序を度外視してどのように外面の秩序を整えたにしても空疎である。
秩序は生命あらしめる原理である。そこにはつねに温かさがなければならぬ。ひとは温かさによって生命の存在を感知する。
また秩序は充実させるものでなければならぬ。単に切り捨てたり取り払ったりするだけで秩序ができるものではない。虚無は明かに秩序とは反対のものである。
しかし秩序はつねに経済的なものである。最少の費用で最大の効用を挙げるという経済の原則は秩序の原則でもある。これは極めて手近かな事実によって証明される。節約――普通の経済的な意味での――は秩序尊重の一つの形式である。この場合節約は大きな教養であるのみでなく、宗教的な敬虔にさえ近づくであろう。逆に言うと、節約は秩序崇拝の一つの形式であるという意味においてのみ倫理的な意味をもっている。無秩序は多くの場合浪費から来る。それは、心の秩序に関して、金銭の濫費においてすでにそうである。
時の利用というものは秩序の愛の現われである。