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じんぞうにんげんエフし

人造人間エフ氏

海野 十三

「ラヂオ子供のテキスト」日本放送協会出版、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,879 字 · 109 页

青空文庫

博士は、うれしそうに、しげしげと人造人間をみて、

「まあ、そこへおかけ。そうだそうだ、そのとおりだ。――ところでエフ氏よ、いよいよかねての計画をここではじめようとおもうが、君の考えはどうかな」

「いいでしょう。ぜひはやくおはじめなさい」

「うまいうまい、その調子で、もっとたのむぞ。――ところで、それをやる前に、日本中の人間をふるえあがらしておきたいとおもうのだ。それには、ラジオでおどかすのが一番いいとおもう。どうだ、お前一つ臨時放送局となって、日本国民をびっくりさせるような放送をやってみる気はないか」

「いや、僕はバナナよりも林檎の方がすきです」

「おかしいぞ、へんなことをいいだしたな。どうもこっちへきてから人造人間をつかいすぎたせいか、ときどき故障がおこるのには閉口じゃ。どれ、ちょっとしらべてやろう」

イワノフ博士は、人造人間エフ氏のそばへより、いきなりエフ氏の右の耳に手をかけると、ぐっと下にひいた。すると、なぜかエフ氏は、ラジオ体操をやるときのように、両足を左右へひらき、両手を水平にぱっとのばした。そして両眼を閉じた。それは人造人間エフ氏をうごかす電気のスイッチを切ったのである。