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じんぞうにんげんエフし
人造人間エフ氏
海野 十三
「ラヂオ子供のテキスト」日本放送協会出版、1939(昭和14)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,879 字 · 109 页
つまり、エフ氏は、勝手に動きだしているように思うんです。これは、御心配なさらなくてもいいのですか」
帆村の質問は、たしかに博士の痛いところをついたようであった。それまで、いばって胸をはっていたイワノフ博士が、帆村のこの質問をきくと、急にあわてだした。
ここぞと、帆村はまたするどく、言葉でもって切りこんだ。
「どうです、博士。人造人間エフ氏は、あなたの心にそむいて、こんなに壁に穴をあけ天井をつきぬき、そのうえどこかへとびだしました。まさか、あなたは、エフ氏に対し、博士が苦心してつくったこの岩窟を、こんな風にこわせとは、命令されなかったのでしょうにねえ」
「うむ。それは……」
「博士。エフ氏を、このまま放っておいて、それでさしつかえないのですか。エフ氏に勝手なことをさせておいていいのですか。もしやエフ氏が、海の中へとびこんだとしたらどうでしょう。たちまち海水が、身体の中の器械をぬらしてしまって、動かなくなるでしょう、そうなれば、折角の人造人間が、だめになってしまいます」
「海水ぐらいは平気じゃ。いや、これは……」
と、口をおさえたが、この博士の言葉から考えると、人造人間は、水にぬれても大丈夫のようにできあがっているらしい。