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じんぞうにんげんじけん
人造人間事件
海野 十三
「オール読物」文藝春秋、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,654 字 · 30 页
「おおそれは丁度いい。早速その軟派の甥を調べてみようと思いますが、如何で……」
そういう大江山の言葉を、雁金検事はすぐに同意した。
4
やがて博士の甥の丈太郎が、警官に護られて、階段の下から姿を現わした。彼は気障ではあるが思いの外キチンとした服装をしている瘠せ型の青年だった。
丈太郎は伯父の死体を見ると、ハラハラと泪を滾した。そして後をふりかえって係官の前にツカツカと進むより、ヒステリックな声で喚きたてた。
「だ、誰が、この善良なる伯父を殺したのです。ああ僕が心配していた事が到頭事実になって現れたのです。だから僕は伯父さんの所から出てゆくのに気が進まなかったんです。さあ、早く犯人を逮捕して下さい」
検事と課長とは、ちょっと顔を見合せた。
「オイ丈太郎。君はなかなか芝居がうまいようだが、その手に乗るようなわれわれでないぞ」
と、大江山は一喝をくらわせた。
「なにが芝居です。そんなことを云う遑があったら、なぜ貴方がたはもっと大局に目を濺がないのです。貴方がたの不注意で、いま国家のために懸けがえのない人造人間研究家が殺害されたのです。国家の大なる損失です。