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じんぞうにんげんじけん
人造人間事件
海野 十三
「オール読物」文藝春秋、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,654 字 · 30 页
「いや、人造人間に霊魂がない限り、これは生きた人間の仕業に違いありませんよ」
「うん、この点をハッキリしたいんだがネ、どうも機械というやつは、苦手だ。この人造人間がどうして動くかということがハッキリ分るといいんだが。そうだ、帆村に調べさせよう」
「それがいいですね」
そこで帆村が呼ばれて、この人造人間はどうして動くかを調べるように命ぜられた。
「さあ僕にも、まだ分ってはいないが、馬詰丈太郎氏は、博士の助手を永らくしていたというから、一つ訊いてみましょう」
帆村は馬詰をつれて、人造人間の前へいった。そしてどうすれば動くかと訊ねた。
「そうですね。僕はこの新型の人造人間については知らないんだが、一つ中を開けて見てみましょう」
そういって彼は物慣れた手つきでドライバーを手にとり、人造人間の胴中をしめつけている鉄扉のネジを外していった。間もなく人造人間の膓が露出した。膓といっても人造人間のことだから細々とした機械がギッシリ詰っていて、その間を赤青黄紫と色とりどりの紐線が縦横無尽に引張りまわされているのであった。なんという複雑な構造だろう。竹田博士の素晴しい脳力のほどがハッキリ窺われるような気がした。