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「にんげんせんげん」のうちそと
「人間宣言」のうちそと
前田 多門
「文藝春秋」文藝春秋新社、1962(昭和37)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,304 字 · 14 页
私は言下に答えて、
「今後の教育の方針は、日本にはまだシビックスというものが打ち立てられていない。この精神を樹立するのが教育の要務と考える」
と言ったら、彼はにっこり笑って、
「それで結構です。そういう方針でおやりなさい」
問答はそれでお仕舞いであった。シビックスという言葉にしっくり合った日本語はどうも見当らぬように思うので、あるいは公民科とか社会科教育とかいっても、どうもその精神が現わされておらない。人民がひとりひとりの力を合わせて、盛り上げた公共生活、そういうものが欠けているところに、民主政治が育たなかった原因があったと思う。今後はその事を中心に教育を進めていきたい、それが責任者としての私の悲願であった。
それで、起草当時、私の頭に去来した思想はやはりこの公共生活への日本人の開眼ということであった。せっかく、陛下からありがたい人間宣言のお言葉が発せられる時に、この点に触れて頂いたらという考えがあったことは否めないのである。ただこの意味を詔書中に現わさんとする場合に、表現方法が幼稚で用語が不十分であったことを幾重にも恐縮している次第である。
こんな具合で、起案に際して、表現の方法、辞句の選択排列等につき、ああでもない、こうでもないと、しきりに次田君といろいろ相談した揚句、いちおう素案が出来たので、これを陛下