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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
そこでわしはわしの信ずる、人間の道をお話しして……いや待てよ、一人だけ、邪悪の人間がいるようだ。死にかわり生きかわり執念深く、人に禍いをする悪人がいる。――こういう悪人へ道を説いても駄目だ。説かれた道を悪用して、一層人間に禍いする! こういう悪人へ制裁を加え、懲すのがわしの務めなのじゃ……」
突然高く自然木の杖が、夕顔の花と向かい合い、夕焼の空へかざされた。そうしてその杖が横へ流れた途端、夕顔の蔓の一所が折れ、夕顔の花が人間の顔のように、グッタリと垂れて宙に下った。
同時に獣の悲鳴のような声が、たかっている人達の間から起こり、すぐに乾いている野道から、パッと塵埃が立ち上った。
見れば一人の人間が、首根ッ子を両手で抑え、野道の上を、塵埃の中を、転げ廻りノタウッている。
意外にもそれは勘兵衛であった。二度までも浪速あやめによって、締め殺されたはずの勘兵衛であった。
怨める美女
その距離が遠かったので、縁に立って見ているあやめの眼には、こういう異変った出来事も、人だかりが散ったり寄ったりしていると、そんなようにしか見えなかった。
あやめは座敷へ引き返し、間の襖の前に立ち、そっとその襖を引き開けた。