轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

と主税はヌッと立ち上った。

「では妾も」とあやめも立った。

でも二人が隣部屋へ入った時には、薄赤い光は消えてしまった。

(さては心の迷いだったか)

(わたしたちの眼違いであったのかしら)

二人は茫然と闇の中に、手を取り合って佇んだ。この間も戸を破る烈しい音が、二人の耳へ聞こえてきた。

と、又も同じ光が、廊下をへだてている襖の隙から、幽かに薄赤く射して来た。

(さては廊下に!)

あやめと主税とは、夢中のようにそっちへ走った。

しかし廊下へ出た時には、その光は消えていた。

が、廊下の一方の詰の、天井の方から同じ光が、気味悪く朦朧と射して来た。

二階へ登る階段があって、その頂上から来るらしかった。

二人はふたたび夢中の様で、階段を駈け上って二階へ登った。しかし二階へ上った時には、その光は消えていて、闇ばかりが二人の周囲にあった。

悪漢毒婦の毒手によって、無残に殺された男の怨恨が、十年もの間籠っているところの、ここはあけずの館であった。その館に持主の知れない薄赤い燈火の光が射して、あっちへ動きこっちへ移って、二人の男女を迷わせる! さては殺された先代の亡魂が、怨恨の執念から行なう業では? ……