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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

……そうなってはどうせ切り死に……」

「切り死に? ……敵と、お父様の敵と……それでは返り討ちになりますのね。……構わない構わないどうなろうと! ……本望、わたしは、わたしは本望! ……主税様と二人で死ぬのなら……」

亡魂の招くところ

たちまちふいに闇の部屋の中へ、一筋の薄赤い光が射した。

(あっ)と二人ながら驚いて、光の来た方へ眼をやった。

奥の部屋を境している襖があって、その襖が細目に開いて、そっちの部屋にある燈火の光が、その隙間から射し込んで来たと、そう思われるような薄赤い光が、ぼっとこの部屋に射して来ていた。

「貴郎!」とあやめは怯えた声で云った。

「あけずの館に燈火の光が! ……では誰かがいるのです! ……恐ろしい、おおどうしよう!」

主税も恐怖を新規にして、燈火の光を睨んだが、

「そういえば閉扉の館の戸が、内から自ずと開きましたのも、不思議なことの一つでござる。……そこへ燈火の光が射した! ……いかにも、さては、この古館には、何者か住んで居るものと見える! ……どっちみち助からぬ二人の命! ……敵の手にかかって殺されようと、怪しいものの手にかかって殺されようと、死ぬる命はひとつでござれば、怪しいものの正体を……」