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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

「お前さんの良人の主馬之進と、主馬之進の兄の松浦頼母とが、たくさんの眷族をかたらって、わたしとわたしの恋しい人とを、この館へとりこめて、これから殺そうとしているのさ。……お聞き、聞こえるだろう、戸をこわしている音が! ……館の裏の戸をぶちこわして、この館へ乱入し、わたしたちを殺そうとしているのさ! ……あッ、しめた! いいことがある! ……お葉やお葉やその女を捉え、ここへおよこし、引きずり上げておくれ! 人質にするのだよその女を! ……もう大丈夫だ、殺されっこはない。その女を人質に取っておいたら、いかな主馬之進や頼母でも、わたしたちを殺すことは出来ないだろうよ。……」

松女の腕を捉り引きずり引きずり、梯子を上るお葉の姿が、すぐに月光に照らされて見えた。

松女を中へ取り籠めて、あやめとお葉と主税とが、刀や短刀を抜きそばめ、闇の二階の部屋の中に、息を殺して突立ったのは、それから間もなくのことであった。

裏戸の破られた音が聞こえた。

乱入して来る足音が聞こえた。

間もなく階段を駈け上る、数人の足音が聞こえてきた。

「よし降り口に待ちかまえていて……」と、主税は云いすて三人を残し、階段の降り口へ突進して行った。