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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

しかし、独楽の面には、なんらの文字も現われなかった。

(この独楽には細工はないとみえる)

いささか失望を感じながら、廻り止んだ独楽をつまみ上げ、なお仔細く調べてみた。

すると、独楽の面の手触りが何となく違うように思われた。

(はてな?)と主税は指に力を罩め、その面を強く左の方へ擦った。

不思議な老人

「おおそうか、蓋なのか」と、擦ったに連れて独楽の面が弛み、心棒を中心にして持ち上ったので、そう主税は呟いてすぐにその蓋を抜いてみた。

独楽の中は空洞になっていて畳んだ紙が入れてあった。

何か書いてあるようである。

そこで、紙を延ばしてみた。

三十三、四十八、二十九、二十四、二十二、四十五、四十八、四、三十五

と書いてあった。

(何だつまらない)と主税は呟き、紙を丸めて捨ようとしたが、

(いや待てよ、隠語かもしれない)

ふとこんなように思われたので、またその紙へ眼を落とし、書かれてある数字を口の中で読んだ。

それから指を折って数え出した。

かなり長い間うち案じた。

「そうか!」と声に出して呟いた時には、主税の顔は硬ばっていた。

(ふうん、やはりそうだったのか、……しかし一体何者なのであろう?)