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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
独楽の在り場所を云うがよい」
極重悪木の由来
この頃戸外の往来を、植木師の一隊が通っていた。そうして老人と美少年と、女猿廻しのお葉とが、その後を尾行て歩いていた。
と、静かに三人は足を止めた。
行手に大名屋敷の土塀が見え、裏門らしい大門が見え、その前へ植木師の一隊が、植木を積んだ車を囲み、月光の中に黒く固まり、動かずに佇んだからであった。
大名屋敷は田安家であった。
と、白い髪を肩の辺りで揺るがせ、白い髯を胸の辺りで顫わせ、深い感情を抑え切れないような声で「飛加藤の亜流」という老人は云った。
「数日前に『極重悪木』を、彼ら田安家へ植え込んで、腰元を数人殺したそうだが、今夜も田安家へ植え込もうとしておる。……彼、東海林自得斎め、よくよく田安家に怨みがあると見える!」
「お爺さん」とお葉は恐ろしそうに訊いた。
「極重悪木と仰有るのは? 東海林自得斎と仰有るのは?」
「私たちの祖師様とはいつの場合でも、反対の立場に立っている、世にも恐ろしい恐ろしい男、それが東海林自得斎なのだよ。その男も私達の祖師様のように、三十年もの間一本の木を、苦心惨憺して育てたのだよ。それが極重悪木なのだ。