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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
「お葉や、わたしも、そうだった。今のわたしの身分といったら、曲独楽使いの太夫なのだよ! ……荏原屋敷の娘、双生児のお嬢様と、自分から云ってはなんだけれど、可愛らしいのと幸福なのとで、人に羨まれたわたしたち二人が、揃いも揃って街の芸人に!」
泉水で鯉が跳ねたのであろう、鞭で打ったような水音がした。
高く抽て白蓮の花が、――夜だから花弁をふくよかに閉じて、宝珠かのように咲いていたが、そこから甘い惑わすような匂いが、双生児の姉妹の悲しい思いを、慰めるように香って来ていた。
「お葉や」とやがてあやめは云った。
「わたし決心をしたのだよ。一生の大事を遂げようとねえ」
「お姉様」とお葉も云った。
「わたしも、わたしも、そうなのです! 一生の大事を遂げようと、決心したのでございます!」
「わたし、主馬之進を殺す意なのだよ! お父様を殺し、お母様を誑し、荏原屋敷を乗っ取って、わたしたち二人を家出させた、極悪人の主馬之進をねえ」
「お姉様」とお葉は云って、ヒタとあやめの顔を見詰め、
「わたしは、主馬之進をそそのかして、そういう悪事を行なわせた、主馬之進の兄にあたる、田安家の奥家老、松浦頼母を殺そうと、心掛けておるのでございます!」