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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

「え※(感嘆符疑問符、1-8-78)」とあやめは仰天したように、

「お葉や、一体、それは一体! ……」

「おお、お姉様お姉様、あなたはご存知ないのです。……お姉様よりも六七ヶ月後に、家出をいたしたこのお葉ばかりが、知っていることなのでございます。……その六七ヶ月の間中、わたしは主馬之進という人間の素性を、懸命に探ったのでございます。その間幾度となく立派な武士が、微行して屋敷へ参りまして、主馬之進と密談いたしましたり、主馬之進と一緒に屋敷内を、そここことなく探したりしました。探った結果その武士こそ、主馬之進の実の兄の、田安家の奥家老、松浦頼母だと知りました」

「知らなかった、わたしは! まるで知らなかった! ……でもどうしてそんな立派な、田安中納言様の奥家老が、実の弟を荏原屋敷へ入れたり、自身微行して訪ねて行ったり?」

「慾からですお姉様、慾からです! ……それも大きな慾から! ……」

荏原屋敷の秘密

どこから話したらよかろうかと、思案するかのようにお葉は黙って、あやめの顔を見守った。

姉妹二人が抱き合った時、お葉の肩から飛び下りた小猿は――藤八猿は築山の頂きに、赤いちゃんちゃんこを着て置物のように坐り、姉妹の姿を見下ろしている。