轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こんにちのどくしゃのせいかく
今日の読者の性格
宮本 百合子
「都新聞」1940(昭和15)年5月19~22日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,197 字 · 13 页
頻々とそういうことがおこっているという訳でもないのだろう。おそらく現実には幾つかあったそんなことがぐるぐるまわって変形した話になって殖えたように拡まっているのであろうとも思うが、それにしても、百円札をもって来た若い職工さんの話などは今日の時代を語ってなかなか心に残る話である。
昔円本が売れた時代の一般の心理に立ちいってふれてみれば、あの頃だって、さてこれで一通り箪笥、長火鉢も恰好がついたから本でも買っておくか、という気持で、そんなら円本でもとろうかと、そして買った人は随分多かったのだろうと思う。どんな文学書がいいのか判らないが、あれならともかく一通り揃っているらしいからよかろう、そういう程度に判断のよりどころが置かれてもいたのだと思う。
自分独自の判断や見解がはっきりきまっていなかったということでは或は今日と同様だったかもしれないし、たぶん同様なのだろうが、自分がそのようにして一個の判断、見解をもっていないという事実に対する当人たちの自覚のありよう、感情の在りようは、何処か今日の人々の心とはちがったニュアンスを持っていた。
自分にはよく解らない、ということに或る自然な文化の価値への敬意をふくまれての謙遜があった。