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こんにちのどくしゃのせいかく

今日の読者の性格

宮本 百合子

「都新聞」1940(昭和15)年5月19~22日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,197 字 · 13 页

青空文庫

二

女学生などの間では、昨今、ごひいきの作家の名はさんをつけてよんで、格別そうでないのは呼びすてにするという風も生じている話をきいた。

作家を公人として見て、姓名だけをよんで来た読者の習慣とそれとは感情において決して一つのものでないことは明らかである。

デパートの書籍売場などで、反物を相談するように、これがよく出ます、と云われる本を買ってゆく奥さん風のひとも多いそうだ。それらの女学生にしろ奥さんにしろ、いずれも本は読んでいるのである。もとよりずっとどっさり買って、そして読んではいるのである。今日の読者にはこういう層も極めて多くなっている。

興味のあることは、こういう種類の読者の層と文学がすきでずっといろいろの文学書も読んで来たというような一部の読者とが、いつの間にやら購買力としてひき出される社会現象のなかで混淆してしまって、これまでの判断や好みをぼんやりさせられてしまっていることである。

こういう読者層はさすがに今日自分たちの判断が曇らされぼんやりさせられて来ていることは感じて、書評にたよったり、出版書肆の信用と目されるものにたよったり、著書の定評的評判にたよったりして本を読んでゆく。