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イタリアのことう
伊太利亜の古陶
宮本 百合子
「中央公論」1924(大正13)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,477 字 · 31 页
彼は、また皿を煖炉棚から下した。そして、南に開いた明るい窓際の長卓子まで持ち出した。
先刻から良人のあとについて、此方に一足彼方に一足していたみや子は、この時、相変らず両袖をかき合わせたまま皿を下目に見下して良人に訊いた。
「あなた、これどの位のものなのです?」
「え? 何?」
日下部は、鼈甲ぶちの大きな虫眼鏡の袋を払いながら、上の空できき返した。
「どの位のものですかと申すのですよ。――」
「どの位――?」
彼は、ちらりと苦笑の影を口辺に走らせた。彼は子供を宥すように云った。
「いいよ、安心おし。――価が出るよ」
みや子はぴたりと黙った。
日下部太郎は、虫眼鏡をとりあげ、余念なく、贋の、而も彼の心を捕えて離さないジョルジョの円皿の上にこごみかかった。