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さっかのけいけん

作家の経験

宮本 百合子

「展望」1947(昭和22)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,801 字 · 25 页

青空文庫

福沢諭吉が提案した明治年代の日本における資本主義興隆期にはそれを行わず、半封建憲法・民法で押してきた。その結果、わたしたちの日常生活のあらゆる面と感情とが、古きものへのたたかいと同じ刹那に、帝国主義末期の現象であるさまざまの矛盾と衝突し、そこからの出口として、より進んだ民主主義――社会主義的民主主義を見わたさずにはいられなくなってきている。日本の民主主義が、ブルジョア革命をなしとげながらその過程で社会主義的な民主主義にうつりゆく新民主主義であるという本質が、文学にも生きてきているのである。

今日、日本の民主主義文学は、暗い旧い世界へたたかいを挑んだヨーロッパの十九世紀末の精神から、現実に進展している社会主義社会への展望までをその領域にふくむものである。新日本文学会の大会が、プロレタリア文学の面だけをとりあげなかった理由は、これでうなずけるであろう。日本では、ブルジョア文学さえも、西欧的な意味では結実していなかった。さもなければ、文化人、文学者が、民主主義の展望の具体的要因として、どうして今日のように、個人の確立を問題とし、苦悩し、ある意味で混乱して迷路にさえひきこまれる現象が起りうるだろう。