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しゅんかん

俊寛

倉田 百三

「新小説」1919(大正8)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,192 字 · 88 页

青空文庫

俊寛 いつくるかわからない。わしは飢えているのだから。

漁夫一 それっぱかしの硫黄をもらったってしかたがないや。

俊寛をさけるごとく、少し離れた所に行き網を打つ。

俊寛 (※の中を物欲しそうにのぞきこむ。やがて隙をうかがい手を突込み魚をつかみ、ふところに入れる)

漁夫一 (それを見つける)盗みやがったな。太いやつだ。

俊寛 わしは知らぬわい。

漁夫一 うそをつけ。魚を出せ。(俊寛に詰め寄せる)

漁夫二とその妻登場。

漁夫二 どうしたのだ。

漁夫一 こいつ、わしの魚を盗みやがったのだ。

漁夫二 この流人めが。とっちめてやれ。

漁夫二の妻 (背中の子供をゆすぶりながら)こいつはいつもうろうろして物盗みをするということだよ。

漁夫二 ぶちなぐってやれ。(俊寛逃げんとす)

漁夫一 待て! (俊寛を地にねじ伏せる)

漁夫二 盗人め! (俊寛の顔を打つ)

俊寛 (顔をおおうて地に伏す。漁夫の子供火のつくように泣く)

漁夫二の妻 (けんどんに子供をゆすぶりながら)ほえまいぞ、ほえまいぞ。ほえるとこの流人のようにぶたれるぞ。

漁夫二 (俊寛を突きやり)失せろ、流人め。二度とこんなまねをしやがったら、生かしてはおかないぞ。