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ふしゅう
俘囚
海野 十三
「新青年」1934(昭和9)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,938 字 · 31 页
つまり二つある肺は一つにし、胃袋は取り去って腸に接ぐという風に、極度の肉体整理を行ったものです。こうすれば、頭脳は普通の人間の二十倍もの働きをすることになるそうで、博士はその研究を自らの肉体に試みられたのです」
人々は唖然として、帆村の話に聞き入った。
「この壺は博士のベッドだったんです。その整理形体に最も適したベッドだったんです。ところで、こんな身体で、どうして博士は往来を闊歩されたか。いまその手足をごらんに入れましょう」
帆村は立って、壺の載っていた卓子の上に行った。そして台の中央部をしきりに探していたが、やがて指をもって上からグッと押した。するとギーッという物音がすると思うと、卓子の中からニョキリと二本の腕と二本の脚が飛び出した。それは空間に、博士の両腕と両脚とを形づくってみせた。
「ごらんなさい。あの壺の蓋が明いて、博士の身体がバネ仕掛けで、この辺の高さまで飛び出して来たとすると、電磁石の働きで、この人造手足がピタリと嵌るのです。しかしこの動作は、博士が壺の底に明いている穴から、卓子の上の隠し釦を押さねばなりません。押さなければ、この壺の蓋も明きません。