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はいくのつくりよう
俳句の作りよう
高浜 虚子
「ホトトギス」1913(大正2)年11月~
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,854 字 · 91 页
去来は「じっと物に眺め入りながら、じっと物に案じ入った」人で、この海鼠の句を作るにつけても必ず深く海鼠の趣に案じ入って、海鼠の趣を丹田の下で考えて作ったものであろうと思います。
秋風や白木の弓に弦張らん 去来
この句意は、時候が秋になって、蕭条たる秋風の吹くころ、いでや白木で何の装飾もしていない弓に弦を張ってみよう、とこういうのであります。この句こそ去来が深く深く秋風の趣に案じ入った句で、秋風の吹くころになると身も心も引き締まってくる、夏の間は茂っていた木の葉もやがてはこの風によって凋落する、芭蕉の梢に秋声を起こすのもこの風、すべて人生に寂滅の第一義を暗示するものはこの秋風である。人はこの秋の哀れに心を痛ませるが、しかしまた同時に春から夏にかけてだらけきっていた心身が驚かされたように引き締まってくる、去来はそこの趣に深く深く案じ入って、いでさらば我は白木の真弓に弦を張って今までのだらけ切った心を取り直し、久しく打ち捨てていた武士の心を取り戻そうというのであります。去来はもと武士であったのが、
鴨なくや弓矢を棄てゝ十余年 去来
というように家を弟にゆずって武士の道を棄てた人でありますから、自然こういう考えも浮かんだのでありましょう。