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はいくのつくりよう

俳句の作りよう

高浜 虚子

「ホトトギス」1913(大正2)年11月~

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,854 字 · 91 页

青空文庫

切字の一例としては「や」「かな」「けり」の三つを前に掲げて、私はこの三つの作例をお目に掛けたに過ぎませんが、切字もなおこのほかにいくらでもあります。それも古人なり今人なりの句集をごらんになったらすぐお判りになります。「俳句とはどんなものか」でも申し上げましたように、意味と調子との切れるために使われた動詞なり副詞なりが、たいがい切字として用いられるのであります。

この冬を髭たくはへて籠らんか  紅爐

袴着てゆかしや人の冬籠  子規

冬籠仏壇の花枯れにけり  同

どうしても笑はぬ人と冬籠  爛鳥

冬籠せんと故郷へ帰りけり  左衛門

冬籠我老いたりと思ひけり  牛伴

冬籠ある日鏡に眉老いぬ  曲骨

愚陀仏は主人の名なり冬籠  漱石

野狐の鶏ねらふ霜夜かな  天涯

霜の夜や寂然として敵の城  楽天

石蕗の葉の霜に尿する小僧かな  子規

渡し場や下駄はいて乗る舟の霜  同

置く霜の白きを見れば草鞋かな  麦人

さてこう切字に印をつけてみると、私が前に一例として出した「や」「かな」「けり」の三つの切字が、比較的に多いことが明瞭に証明されました。この三つは切字のうちでもっとも有力でまたもっとも多く使われるものであります。