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いつわりのないぶんかを

偽りのない文化を

宮本 百合子

「女性改造」1948(昭和23)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,161 字 · 18 页

青空文庫

そして、第三に、よむものの心をうつことは、商業的な文化の上では猟奇のヒロインのように描き出される彼女たちが、電車にのると、パン助野郎、歩いて行け、とののしられたりするということである。娘たちは、真赤にルージュをぬった唇から、なるたけ歩くようにはしているけれど、わたしたちだって遠いところは乗りたいんです、と訴えている。

売笑婦が、電車に乗るのは生意気だといってののしられる国が、日本のほかのどこにあるだろう。なるたけ歩くけれど、遠いところは乗りたいという、いじらしい答えをする夜の女が日本のほかのどこにいるだろう。

こういう娘たちの大部分は戦争中、徴用で軍需工場に働いていた。そのときの彼女たちは、断髪に日の丸はちまきをしめて、日本の誇る産業戦士であった――寮でしらみにくわれながらも。彼女たちの働く姿は新聞に映画にうつされた。あなたがたの双肩に日本の勝利はゆだねられています、第一線の花形です、というほめ言葉を、そのころはじめてきいたのだった。

終戦のとき、それからあと、これら第一線の花形たちの生活はどうなったろう。女は家庭にかえれと、職場を失った。大部分が戦災をうけ、親を失っている。