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はたらくために
働くために
宮本 百合子
「婦人の生活」第二冊、生活社、1941(昭和16)年4月発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,590 字 · 8 页
願くば、このくるみぶち付羽織だの着物だのに、せめて心持よい色彩あれ、と思っている。
もう一つ私は妙なものを使っている。それは私のせめてものくつろぎ用、寒さしのぎ用だが、部屋着から思いついて、どてら代りに綿入元禄袖のついたけ着物のように縫ったものに、横で結ぶ紐をつけ、寝間着の上から羽織ったり、夜はふだん着の上にひっかけたりして、便利している。
洋服暮しのとき、部屋着として少しさっぱりした縞や小紋の着物地で拵え、随分重宝してからずっともう幾冬もそれを離さない。日本の部屋で、洋装ぐらしをする女のひとは、案外そんな部屋着が役に立ち、又安楽で、しかも一寸そのまま人前に出ても大して失礼にも当らず、都合いいのではないかしら。縞や模様の気くばり次第で、全くの部屋着の感じにもなるし、落付いて地味な上っぱりともなるのだから。この間、私の伝授で或る若いひとが、近頃よくある紫のしぼりでそれをこしらえて着ているのを見た。とも切れの幅ひろく短い紐をちょんと横に結んだところもなかなか愛らしくて、びらしゃらもしないのである。
日本の着物の感覚で、色彩的ということがもっとこまやかな味いで感じられるようにならなければうそと思う。