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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

それも一日行程で踏破しようと言うのだ。そのため尾道を私は未明に出発する事にした。普通に歩いたのでは一日十八里は歩けるものでない。私は車夫のように「駆け足」をまじえて、上り坂は歩くが平らな道は走って、夜まで三次に着こうという計画なのだ。

来た時のように、車に乗って帰るのだろうと思ってた姉は、私の計画を聞いておどろいた。

「お止しよ、そんな無理なこと。あんたは脚気を治すために尾道に来たんじゃないの」

「脚気はもう直りましたよ。僕はこれからの山の中の中学に帰ってうんと体を鍛えるんです」

姉は私の顔を見ていたが、

「でもあんたがそんなに元気になってくれたのは嬉しいわ。庄原のお父さんも、お母さんもお喜びでしょう……尾道に来ていてよかったわね」

「ありがとう。姉さん。僕とても感謝していますよ。……一寸言えない位です」

と私は心から言った。子供のように可愛がってくれた伯父、伯母。人のいい寛大な従兄。――むつみ合った少女たち、仁田さん、福井さん、子供たち……とても忘れられないと私は心の内で思った。

姉は明日出発する私を送る意味で、牛肉のすき焼きをして、皆で晩飯の時色々とこの一年間のことを話し合った。