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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
「君たちは若いから勉強して、理想を求めたまえ。わしらは金でも貯めてらくをしたいと思うばかりだ。もっともなかなか貯まらぬがね」
こんな事を教室で公言した。それも私の言葉に対しての皮肉からであった。
「先生政党というものは合理的でないと思いますが、どうしてそんなものを法律で禁じないんですか」
中学三年生の私のこの質問に対して、年とった法制の先生は、お話しにならないという風に苦笑いして、ろくにとりあげようとしなかった。
私は不服であった。私の論拠は一人一党的の意味のもので今日の政党解消論とは違った個人主義の立場からではあったが、この先生はただそれが現実的に見て不可能な黄口児の質問と見るだけで、中学三年生の頭にさえ不合理に印象するのだという公けな真理性への関心はまるで無いのであった。
この年少者と大概の大人との感受性の相違は実に重大なことだ。そしてすぐれた、偉大な教育者とはいかに年老いても、この年少の感受性に答えることを義務と感ずるような人でなくてはならぬ。実に如何に多くの本質的に重大な年少者の質問が凡庸な教育者のために、正しく答えられずに放置されるであろうか。