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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
党派争いのようなものはいつもあった。そして強い、悪い奴の仲間に加わることをいさぎよしとせぬ良心はいつも苦しんだ。
牧信七という子を新民の子だと言って、同級生がいじめるのが私はどうしても不満であった。その子を私はいつもかばった。その子の家は川向こうの川手という部落にあり、家の前を西城川という川(郷ノ川の上流)が流れていた。私は放課後によくその子の家に遊びに行き、川の堤で二人で遊んだ。誰れも遊んでやらないからだ。その子は学校がよく出来、色の白い、美しい子だった。その子のお母さんは私の家へ買物に来て「お宅の坊ちゃんはうちの子とよく遊んで下さいます」
とお礼を言っていたそうだ。私はもとよりまだ九つや、十で、異種族排斥の思想が不合理だとか、義侠心とはどんなものかというようなことなど全く教えられてはいなかったのだ。しかしどうしてもその子の味方とならずにはいられなかった。
しかしその子をいじめる党派の頭、岡本京市と言う、年も三つばかり上の同級生はそのために私を圧迫した。そして教室の大火鉢にもあたらせなかったりした。
そうした状態で、私が不思議に思うのは、子供たちが先生に訴える気を持っていない事だ。