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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

というものだ。

街の両側の軒下に子供たちは分れて並ぶ。

「子売ろう子売ろう」

一方の子供たちが声を揃えると、

「子買おう子買おう」

と他の側の子供たちが応える。

「何という子買いやるか」

「お文という子買いましょう」

「何ぼで買いやるか」

「二十両で買いましょう」

「それじゃまだ安いよ」

「三十両で買いましょう」

「連れて行って何食せる」

「お米のまんまに鯛そえて」

「それじゃ咽喉にがんが立つ」

「麦飯にとろろ」

そこで話がまとまって、「とんび、とんび」と叫びながら買われた子は向かい側に羽ばたきの真似しつつ移るのだ。

子供たちは皆自分の買われる番を待っているのだ。夏の夕ぐれ、ほの暗い街をこうもりなど飛び、子供たちの声はあわれにひびいた。

子供たちは無邪気で、嬉々として戯れているとは言え、あまりに淋しい遊びである。私はませていたせいか、この遊びの時は一抹の哀愁につつまれたものだ。

私が十三の春に大阪の博覧会があり、父は私と政子姉と尾道の種子姉との三人を連れて、博覧会見物を兼ねて、京都、奈良、伊勢等の名所古跡を連れて旅をした。

これが恐らく父の生涯での一番楽しい華やかな旅であったろう。