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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
私がそれを戸棚にかくすと必ず元のように出してあった。鏡台がひとつ格子窓のそばに置いてあるのも不調和であった。化粧部屋もかねるわけだ。
こんな部屋を美しく飾ることは誰れにも出来ない。こんなことに虚栄心のある私はまことに苦しんだ。友人が遊びに行くと言うと冷汗が出た。
私はまったく好学の心ひとつで忍耐したのであった。私はただ勉強するよりなかった。私は学校で生きていた。弁当は柳行李を小さくしたようなものに飯と、香のものが入ってるきりだった。これも並んでる友だちにきまり悪かった。中村三之助という友人と並んでいたら、自分のさいの魚の片身を箸ではさんで、私の弁当箱に入れようとした事があった。私は真赤になって烈しく拒んだ。この友だちは後に私の運命に深い影響を与えた少年だが、
「いいじゃないか。あんまり何もないからさ」
と言った。しかし叔母はわざとそうしたのではない。宗藤の家では夕飯の外さいは用いなかったのだ。
私は一学期の試験からもう首席だった。それは当然でもあった。私ほど勉強したものは無かったろうから、私は勉強で生きていたのだ。試験が来る毎に楽しかった。それが待たれた。